フロック形状の観察による実態把握
間欠運転を成功させるには、まずフロックの状態を正確に把握することが必要不可欠です。観察を通じて得られるフロックの形状や色合いは、微生物の健康状態や環境条件を反映しています。以下の指標が特に重要です。
- フロックの大きさ
フロックが大きく凝集している場合、適切な栄養と酸素条件が維持されている可能性が高い。- 色合いの濃さ
フロックが濃い色を呈する場合、微生物の活性が高く、栄養が十分供給されている状態を示す。- 形状の安定性
不安定な形状や小型化が見られる場合、酸素供給過剰や栄養不足が原因と考えられる。
曝気槽後半部の観察の重要性
フロックは曝気槽後半部で特に栄養不足に陥りやすく、解体が進むリスクが高い。この部分での観察は、全体の処理状態を判断する上で重要な根拠となります。
観察手法の発見:効率化とデータ蓄積
従来の観察法では、1サンプルの観察に熟練者でも1時間以上を要していました。私は汚泥検鏡アプリを活用し、観察時間を数分に短縮する新しい手法を導入しました。この効率化により、毎日の観察と画像データの蓄積が可能となり、フロックの形状を、現在と過去の状態を比較できる仕組みを確立しました。
蓄積されたデータをポータルサイトで管理することで、フロック形状と出現生物の傾向に相関関係があることが明確に示されました。これにより、排水処理の状況を視覚的に理解することが可能となり、現場での観察精度が飛躍的に向上しました。
観察結果が導いた現場の自信
毎日巡回し、処理状況と観察結果が結びつくことを理解した現場スタッフは、次第に大きな自信を持つようになりました。観察や測定が単なる作業ではなく、排水処理を最適化するための科学的な基盤であることを実感したのです。
次回予告:負荷を数値で示す鍵、微生物活性測定
今回ご紹介した顕微鏡観察の手法が処理状況の可視化に貢献した一方で、負荷の具体的な把握には数値データが不可欠です。次回は、負荷状況を数値化する微生物活性測定に焦点を当て、その役割と結果が排水処理に与えた影響を詳しくお伝えします。