1億円かけた排水処理設備が機能しない…その原因は「設計ミス」だった
「新品の排水処理設備を導入したのに、試運転の段階から悪臭が消えない」 「メーカーに言われた通りの薬品を入れているのに、数値が基準値をクリアしない」 もし、あなたがこのような悩みを抱えているとしたら、それは現場の運転管理の問題ではないかもしれません。 設備の「設計」そのものに、重大なミスがある可能性があります。 今日は、私たちが実際に遭遇し、解決した「1億円超の設備が機能不全に陥っていた事例」をご紹介します。 衝撃の事実:BOD濃度の過小評価 ある水産加工工場(仮名:S水産様)から、「新設したばかりの排水処理施設から強烈な硫化水素臭がする。何度調整しても直らない」という相談を受けました。 建設費は1億円以上。最新の設備のはずでした。 現地調査と設計図書の精査を行った結果、驚くべき事実が判明しました。 設計値と実態のズレ 設計上の原水BOD濃度: 8,000 mg/L 実際の原水BOD濃度: 12,000 mg/L 設計の前提となる汚れの濃度(BOD)が、実態よりも 30%以上も低く見積もられていた のです。 これは、体重100kgの人用のベッドに、150kgの人が寝ようとしているようなものです。当然、設備は悲鳴を上げます。 その結果、何が起きたか? 酸素不足(酸欠): 汚れを分解する微生物に必要な酸素量が圧倒的に足りず、微生物が活動できない。 曝気槽の容量不足: 本来必要な槽の大きさ(滞留時間)が確保されていないため、処理が終わる前に水が流れてしまう。 設備の腐食: 酸欠により発生した硫化水素がコンクリートを侵食し、 完成からわずか2年で壁がボロボロ に。 メーカーは「負荷が高すぎる」と現場のせいにしましたが、これは明らかに「設計段階での調査不足」によるミスでした。 「建て替え」しかないのか? 私たちが提案した解決策 メーカーからは「設備の増設」や「大規模改修」を提案されましたが、それには数千万円の追加費用がかかります。導入したばかりの設備に、これ以上の投資は経営的にも困難です。 そこで私たちは、「今ある設備(ハード)はいじらず、運用(ソフト)で解決する」というアプローチをとりました。 1. 物理的な不足を「化学」で補う 不足している酸素供給能力を補うため、特殊な酸化制御剤(マロックスSE-Ⅱ剤など)と反応促進材(マグキャリア)を組み合わせて...