【現場の裏話】〜その1〜 「あれ?この配管、どこにも繋がっていませんよ?」~ある食品工場で起きたミステリー~
排水処理のコンサルタントとして現場を回っていると、時々「ミステリー小説」のような事態に出くわすことがあります。
今日は、ある食品工場(仮名)で実際に起きた、「笑うに笑えない実話」をこっそりお話ししましょう。
新品の工場、置き去りの排水処理
その工場は、事業拡大に伴って新工場を建設したばかりでした。
ピカピカの製造ライン、最新の生産設備。経営陣の鼻息も荒く、生産量は以前の工場から大幅にアップする計画でした。
排水処理施設は現状のまま使用する計画だという。
しかし、排水処理の現場に行くと、様子がおかしいのです。
沈殿槽の上澄み水は真っ黄色。
水量は増えていて、負荷も上がっている様子、処理が追いついていない。
新工場では単位当たり汚水量は確実に下がると言っていたが、、、、、
現場を歩き回り、配管のルートを目で追っていた私は、ある設備のまわりで足を止めました。
そこには、「ウルトラスクリーン」という、非常に高性能な前処理装置(固形物を取り除くフィルター)が鎮座していました。
これを使えば、後段の生物処理の負担を大幅に減らせるはずです。
「おっ、以前使っていたスクリーンここ通っているんですよね。」
そう言いながら、ふと配管の接続部分を覗き込んだ私は、我が目を疑いました。
「……繋がってない。」
新工場から伸びてきた新しい排水パイプ。
そして、目の前にある高性能スクリーン。
スクリーンの接続フランジには何も繋がっていません。
配管はスクリーンの手前で90℃曲がり、そのまま調整槽へ流れていたのです。
「あのー、担当者さん。このスクリーン、配管が繋がっていませんけど…?」
「どうしてですか?」
担当者の方々は、キョトンとしています。
「えっ? いや、工事は終わったはずですが…」
全員で確認すると、やはり繋がっていない。
なんと、新工場建設時の配管工事で、施工業者がこのスクリーンへの接続を「うっかり」忘れ、そのまますべての工事完了検査をパスしてしまっていたのです。
なぜ「誰も」気づかなかったのか?
ここで怖いのは、施工業者のミスではありません。
(もちろんミスはダメですが、人間ですから間違いはあります)
本当に怖いのは、「工場の誰一人として、そのことに何ヶ月も気づいていなかったという事実です。
「業者がやったんだから大丈夫だろう」という丸投げ体質。
「排水処理設備なんて、汚水が流れていればそれでいい」という無関心。
新工場の生産ラインのネジ一本にはこだわっても、排水処理の配管一本には誰も目を向けない。
この「関心の薄さ」こそが、のちに処理不能や基準値超過というしっぺ返しとなって返ってくるのです。
教訓:あなたの工場の配管は、本当に繋がっていますか?
私が指摘した後、すぐに配管は接続されました。
しかし、これは他人事ではありません。
「まさかウチに限って」
そう思っている経営者様、工場長様。
一度、ヘルメットを被って、ご自身の工場の排水処理設備を歩いてみてください。
図面には載っているのに動いていない機械、開いているはずなのに閉じているバルブ、そして「どこにも繋がっていない配管」が、そこにあるかもしれません。
もし「自分ではよく分からない」という場合は、私たちが代わりに確認いたします。



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