【現場の裏話】〜その2〜 なぜ私は「神様」を生まないシステム目指したのか?~精神論だけでは水は守れない~
前回の記事で、同じ会社の工場でありながら、担当者の「管理姿勢」の違いによって、天と地ほどの差が生まれた事例(工場Aと工場B)をご紹介しました。
多くの反響をいただきましたが、今日はその話をもう少し掘り下げて、私が**「なぜ、しつこいほどにデータの可視化やシステム化にこだわるのか」**、その本当の理由をお話しします。
排水処理は「工場の端っこ」にある
私は常々、「排水処理の維持管理は『考え方』が重要だ」と申し上げています。
しかし、その正しい考え方を維持することを難しくしている、構造的な問題があります。
それは、排水処理設備が「工場の端っこ」にあるということです。
設備の性質上、排水処理は工場のメインストリートから最も離れた、人目につかない場所に作られます。工場長や幹部がいる事務所からは、物理的にも心理的にも、もっとも目が届かない場所です。
「隠したい」という心理との戦い
人間は、良くないことが起こると、それを隠したくなる心理が働くときがあります。
特に、誰の目も届かない「工場の端っこ」にいれば、その心理はさらに助長されます。
「ちょっと数値が悪いけど、黙っておけばバレないだろう」
「誰も見に来るわけでもないから、日報には正常値を書いておこう」
しかし、排水処理で起こるトラブルは、担当者個人の問題ではなく、会社全体のリスクです。本来であれば、そのリスクは正確に、かつ迅速に上席に伝わらなければなりません。それが遅れれば遅れるほど、取り返しのつかない事故(環境汚染や操業停止)に繋がります。
完璧な仕事でも、結果は完璧とは限らない
もう一つ、忘れてはならない事実があります。
それは、排水処理の主役が目に見えない「生物」である以上、担当者が完璧な仕事をしても、結果が完璧になるとは限らないということです。
どんなに熟練した担当者でも、急激な気温変化や想定外の毒物流入には勝てないことがあります。ミスをすることだってあります。
それなのに、結果が悪ければ「担当者の腕が悪い」と責められる。
これでは、担当者は常にプレッシャーに晒され、自己防衛のために「隠しておこう。」という気持ちが沸き上がって来やすくなるでしょう。
「嘘のつけない環境」が担当者を救う
私が、AppSheet(アプリ)による記録システムや、Looker Studio(ダッシュボード)による可視化、顕微鏡画像のクラウド保存を導入する最大の理由は、実はここにあります。
それは、担当者を「ノープレッシャー」にするためです。
システムによって、良いデータも悪いデータも、リアルタイムで自動的に共有される「嘘のつけない環境」を作ってしまえば、担当者は「隠そうか、どうしようか」と迷う必要がなくなります。
隠しようがないのですから、事実をありのまま受け入れるしかありません。
「隠す」という心理的負担からの解放
「個人の責任」から「組織の課題」への転換
数値や画像という「客観的事実」が共有されていれば、議論は「誰が悪いのか」ではなく、「この現象(事実)に対して、組織としてどう対策するか」という建設的な方向へ進みます。
「神様」はいらない、「事実」があればいい
システムによってガラス張りになった現場では、ベテランも新人も関係ありません。
「勘」で威張ることも、「嘘」で誤魔化すこともできなくなります。
あるのは、「今の微生物の状態」という事実と、それに基づいた「論理的な判断」だけです。
「橋口さんはITに詳しいですね」と言われることがありますが、私はIT屋ではありません。
排水処理という、ともすれば「個人の職人芸」や「闇」に閉ざされがちな仕事を、誰もが安心して触れられる「科学」と「資産」に変えたい。
そして、現場で戦う担当者を孤独なプレッシャーから解放したい。
そのために、使える道具(IT)を使っているに過ぎません。
あなたの工場の排水処理は、担当者の「心」だけに守られていませんか?
それとも、揺るぎない「システム」によって守られていますか?
もし不安を感じたら、一度「仕組み」の見直しをご検討ください。
橋口水環サービス


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