「生産増」の裏で悲鳴を上げる排水処理…水量オーバーと法改正の「ダブルパンチ」に備える

 「新工場が稼働して生産量が上がった」

「受注が増えて工場がフル稼働している」

経営者にとって、これほどうれしいことはありません。

 しかし、その裏で「排水処理設備」が限界を超え、重大な法的リスクに晒されていることにお気づきでしょうか?

 今回は、私たちが実際にコンサルティングを行った食肉加工工場の事例をもとに、**「水量超過(キャパオーバー)」「水質汚濁防止法の改正」**という2つのリスクと、その現実的な対策についてお話しします。


リスク1:設計能力を超える「水量超過」の恐怖


 ある工場(仮名:M食品様)から、「処理水の状態が不安定だ」という相談を受けました。

現場調査とデータ分析を行うと、衝撃的な事実が判明しました。


  • 設備の設計処理能力: 1700m3/日

  • 実際の流入水量: 最大 1900m3/日


計画値を大幅に超える排水が流れ込んでいたのです。

 排水処理設備は、微生物が汚れを分解するための「時間(滞留時間)」が必要です。水量が設計を超えると、水は十分な処理時間を確保できないまま、文字通り設備を「素通り」してしまいます。

 その結果、未処理の有機物(BOD)が川へ流れ出し、悪臭や汚染の原因となります。これは、いつ行政処分を受けてもおかしくない状態です。


リスク2:法改正「大腸菌群数」から「大腸菌数」へ


 さらに追い打ちをかけるのが、近年の水質汚濁防止法に関わる規制強化です。

放流水質の基準項目が、従来の「大腸菌群数」から、より病原性の指標として正確な「大腸菌数(E. coli)」へと切り替わりました。

 水量オーバーで未処理の水が流れるということは、当然、大腸菌も消毒しきれずに流出することを意味します。未処理有機物が多い水には消毒剤(塩素)が効きにくく、基準値の数倍〜数十倍の大腸菌が検出され、保健所から指導を受けるケースが後を絶ちません。


私たちが提案した「即効性のある」2つの対策


「設備を増設するしかないのか…?」

数億円の投資を覚悟したお客様に対し、私たちは現場を徹底的に調査し、今ある資産を活用した2つの対策を提案しました。


対策①:眠っていた「ウルトラスクリーン」の再稼働


 現場調査中、私たちはあることに気づきました。高性能な前処理装置「ウルトラスクリーン」が設置されているにもかかわらず、配管が接続されず遊休設備になっていたのです。

「なぜこれを使わないのですか?」

私たちはすぐにこのスクリーンへの接続・稼働を提案しました。

 物理的に固形物やSS(浮遊物質)を事前に取り除くことで、後段の生物処理にかかる負担(負荷)を劇的に減らすことができます。これは、新たな設備投資ゼロで処理能力を底上げする最善手でした。


対策②:残留塩素濃度の「ピンポイント管理」


 大腸菌対策として、単に塩素をドバドバ入れるのは間違いです(トリハロメタン発生などの環境リスクがあるため)。

私たちは、排水量が最大になる時間帯を狙って、「残留塩素濃度 0.1mg/L」を維持する管理手法を指導しました。


  • これまでは固形塩素剤との接触によっていたものを薬注ポンプでの添加に変更。

  • 毎日、ピーク時に塩素濃度を測定する。

  • 測定器の数値を写真で記録し、証拠として残す。


 これにより、保健所に対しても「科学的根拠に基づいた対策を行っている」と証明できるようになり、法的リスクを回避しました。


排水処理は「生産管理」の一部です


 生産量が増えれば、排水量も増える。

当たり前のことですが、製造ラインの増設には熱心でも、排水処理のキャパシティ確認は後回しになりがちです。


  • 最近、処理水が濁っている気がする

  • 排水量が増えているが、設備の許容範囲かわからない

  • 使っていない設備があるが、活用できるか判断できない


もしこのような状況であれば、私たちにご相談ください。

高額な増設工事をする前に、「運用の工夫」「既存資産の活用」で解決できる道があるかもしれません。

橋口水環サービス

[お問い合わせ・簡易診断のご依頼はこちら] 

https://sites.google.com/suikankinpo.net/hashiguchi-suikan/セカンドオピニオン

コメント

人気の投稿