2024年11月23日土曜日

第1回 ある飲料メーカーでのコンサル業務の話

 

果実加工業界の裏で高まる排水処理のコスト問題

果実加工業界は、美味しい果実製品を消費者に届ける一方で、製造過程で大量の排水が発生します。この排水処理にかかるコストは見えにくい部分でありながら、経営に大きな影響を与えます。

某飲料メーカー㈱も例外ではありませんでした。


 同社では、排水処理に毎年高額なコストを要しており、経営陣とくに生産を統括するO常務はこの問題を大きな課題として認識していました。

 しかし、排水処理を長年管理してきた技術部門は、その自負からか「自分たちの運転に間違いはない」という姿勢を崩しませんでした。そのため、排水処理の現状を「高負荷運転」と誤認し、問題の本質に目を向けることができませんでした。この結果、改善活動は停滞したままとなりました。



コスト問題の原因を解明する調査開始

O常務の強い指示のもと、排水処理コストの根本原因を解明するための調査を開始するため、これまでこの工場と何の関係もなかった私が任命され、調査を開始することになりました。

この調査では、以下の2つの方法が用いられました:

  1. 顕微鏡観察
    活性汚泥のフロック(微生物の塊)の形成状態を観察し、処理プロセスの問題点を特定。

  2. 微生物活性測定
    微生物の呼吸速度を測定し、処理能力を定量的に評価。

 調査の結果、処理が「高負荷」ではなく、むしろ「低負荷」で運転されていることが判明しました。これは、多くの人が予想しなかった事実であり、当時の運転管理の盲点を浮き彫りにしました。





初期提案の拒否と再挑戦の道筋

 調査を基に改善提案が行われましたが、技術部門は「高負荷」という誤解を基にこれを拒否し、契約は途中で打ち切られてしまいました。

 しかし、経営陣の交代により、排水処理設備の責任が技術部門から生産部門へ移管され、新しい現場責任者が配置されました。この変革が新たなスタートのきっかけとなり、コンサルタントとの再契約が実現しました。


次回予告:現場改革と具体的な改善策

次回は、新たなスタートを切ったプロジェクトがどのように進化し、どのような具体的な改善策が導入されたかをご紹介します。排水処理における課題解決の道のりをお楽しみに!

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